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嚥下内視鏡検査の導入について

2017.9.1

嚥下機能精密検査――。評価に用いる経鼻内視鏡は、内視鏡本体に光源を付け観察・記録用のパソコンを接続し、画像を確認しながら使用します。いずれも先生自身の手になじみやすい機種や、訪問先の電源の有無など、環境によってその組み合わせをカスタマイズする、いわゆる「オーダーメイド」の一式です。

 

そして、予期せぬ事故を防ぐため、聴診器や、咽頭部まで届く長さの鼻腔・口腔用カテーテルを付けた吸引器なども必要です。そのため、「嚥下内視鏡のみ」という買い方・使い方は決して行いません。内視鏡を取り扱うメーカーは国内外に数社ありますから、その一例を以下にご紹介します。

 

① 経鼻内視鏡本体

直径は約3.4ミリメートル(10Fr相当)。鼻から挿入し、嚥下状態を観察します。入れ過ぎて声帯を傷つけないように注意します。細くなっている部分はファイバー(ガラスの集合体)でできているので、強い力が加わると折れます。認知症の患者など、暴れてファイバー部分に手が触れそうな人には注意が必要です。

 

 ② - a )内視鏡に接続するポータブルLED光源

ポータブルの光源は内視鏡の本体に接続します。重さは105グラムと軽いですが、レバーを操作するときの手の支えにもなるため便利です。リチウム電池の連続照射で約10時間使用できます。導入時のコストが固定式(コンセント式)の光源装置より安い反面、電池の交換費用が発生する。固定式(コンセント式)より若干明るさが暗くなるデメリットもありますが,嚥下機能精密検査をする上では差し支える事はありません。

 

② - b )内視鏡に接続する有線のLED光源(固定式光源装置)

主に外来や特養、老健など、入所施設で安定的に電源が確保できる場合のみ、ポータブルLED光源より使い勝手が良いです。ポータブルよりも重さ(320グラム)があり、場所をとりますが、非常に明るいのが利点です。喉頭蓋谷や梨状窩など、ポータブルの光源でも確認しにくい部位がきちんと見えますが、近くにコンセントが必要となります。

 

③ 録画用のパソコン

嚥下機能を観察する目的は、摂食嚥下障害の有無や、それを改善できるかを評価することです。カメラで見るだけでなく、その後のリハビリテーションに役立てたり、管理栄養士や言語聴覚士など、他の職種と連携して嚥下食を考えたりするために、動画で記録しておきたいところ。患者ごとにファイル管理できる専用ソフトがインストールされた状態で販売しているタブレットPCがあります。ただしパソコンにはウイルスソフト(標準セットでは、ウイルス対策ソフト『 McAfee 』が、出荷時から1年間保証付き)を入れ、情報漏洩に気を付けましょう。

 

④ 使用後の消毒

患者使用後は、フタラール消毒液(ディスオーパ®)(0.55%)に5分間浸し、その後流水で5分間薬液を洗い流します。専用の洗浄容器や洗浄筒が販売されています。消毒が十分でないと事故を起こす可能性があります。詳しく説明すると、フタラール消毒液を流水できちんと流しきれていないと、全身の皮膚に赤発が生じるなどのアナキラフィシーショックをおこす可能性もあります。また、消毒そのものがきちんとされていないと、次の患者に挿入した際、感染を起こす可能性があります。そのため、洗浄・消毒の管理は厳密に行うべきとされています。

 

 ⑤ 非常時の対応

訪問診療時には必須の血中酸素濃度測定器、血圧計、聴診器は、急変時にも役立ちます。

そして、嚥下内視鏡で何より重要なのは吸引器です。嚥下評価をするためのテストフードが飲み込めなかった場合、吸引する必要があります。窒息の可能性すら考慮すべきです。

吸引器には、内視鏡より少し直径の大きいカテーテル約4〜4.7ミリメートル(12Fr~14Fr)を付け、口から挿入して吸い取ります。つまり、テストフードは吸引できる軟らかさのゼリーなどが適しているといえるでしょう。また、挿入しやすい左右の鼻腔を決めるに当たって、鼻の通り具合を鼻息で簡単に確認できる『キリアン鼻息鏡』や、内視鏡のカバーになる『エンドシース』など内視鏡手技における周辺機材の準備もあると好ましいとされています。

 

なお、聴診器は頸部聴診法で嚥下評価をする際にも使えます。近年は、音声を録音できるタイプのものもあるので、異常な嚥下音を記録しておきたい場合は、持っておくといいでしょう(一方で、頸部の嚥下音を聞くには録音はできないがダイアフラムが小さい方がいいとの声から、新生児用のものを使う先生もいます。これも好みで選ぶと良いです)。

 

 

以上、内視鏡を導入する際に最低限でも必要とされる機材一式を示しました。歯科における嚥下内視鏡は比較的新しい分野でありながら、ニーズが急増している手技の1つです。導入時は使いやすい機種の選定から、インシデントを想定した医療機器まで、すべてをそろえてから出かける必要があります。

 

 

 

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